鉄拳SNS『zexi』は、鉄拳プレイヤーのコミュニケーションの場として活発に利用され、2022年3月11日をもって閉鎖しました。
本業の経験を生かしてサーバー管理を担っていた立場として、軽く振り返ってみたいと思います。
はじまり
鉄拳界で最も知名度の高い人物の一人であろう、ご存知 天帝ゼクス が運営を担当していたのですが、彼と知り合って、どのような流れでSNSのサーバー管理をする流れになったのかは忘れました。多分、新宿JoyBoxの帰りにウチに泊まり鉄拳にきたりしてる間に自然と請け負ったんだと思います。zechs が創る mixi みたいなSNS zexi は、発音が同じ結婚情報ゼクシィとも相まって、強力無比な名付けでした。あなたが神か。
サーバー構築
SNS構築に採用するのは MyNets ということで、私の当時の主要技術である PHP + MySQL であり、構築自体はそう難しいことではありませんでした。問題は場所とサーバーリソース量で、ユーザー数やトラフィック流量の見込みが全く不明だったので、とりあえず自宅+タワーPC1台で始めることにしました。
ネット回線に固定グローバルIPアドレスをつけて、自宅Linuxルーター兼 WEB&DBサーバー という感じ。古臭い構成ですが、当時はクラウドではなくレンタルサーバーって時代なので、それよりは費用を抑えつつ拡張性も自由、を選択しました。
そしてリリースしたのが 2007年11月 だったみたいです。
ユーザー増加
あまり正確な数値ではないですが、私が引退するまでの2年間ほどで、ユーザー登録数は2万弱、アクティブユーザー数は5~8000程だったようです。招待制とはいえ稼働率が高すぎ変人コミュニティなり。アクセス数は多いときで日に百万をゆうに超え、月間PVは数千万単位ありました。日記は日に1000近く、コメントは5000以上更新されることもあり、異常に活気あふれるSNSで、とても運営しがいのある環境でした。えぇ、とても。
監視システムを仕込んでいたので、サーバー性能が追いつかない時は、本業中や対戦中にアラートメールが飛んできました。本業中なら休憩がてら遠隔で対応できましたが、対戦中は知らんがな。くらいの運営感覚でやってました。
サーバー構成
一般向けPC1台で耐えられるわけもなく、わりと早い段階で少し強めのPCを1台追加し、WEB + DB の2台構成になりました。結局、アクセスが多い時代はそれだけで乗り切ったわけですが、のちのち以下の理由でクラウドに移すことにしました。
- 過疎ってくると2台も必要ない
- 部屋の場所をとる
- 電気代がかかる
- 夏は排熱で暑い
- マンションのインターネット計画停止
物理サーバーDebian4 から EC2 CentOS7 にサービスを爆速で移行するというゲームに成功した
— 外道父 | Noko (@GedowFather) July 25, 2017
さすがに2007年のPCから2017年のクラウドに移行すると、CPUパワーが全然違って、普通に処理が爆速になりました。
ちなみにPCは昔は愛用していたドスパラ製だったんですが、本業で中の人と話したついでに、自宅でも24時間365日使ってますよー!って言ったら、
「あの一般向け製品は365日稼働を想定していませんw」
と言われ、ほげーってなりました。
でも10年間2台とも、何も壊れず稼働しきってくれたので……いや、ファン交換1回と、メモリ増設くらいは自分でしたんだったかな?まぁ可愛がったかいあって、クラウド移行まで生きたまま、手厚く処分することができました。
性能改善
MyNets は機能としては良くできていたものの、万単位のユーザー数に耐える出来ではありませんでした。そのため、2台のPCで耐えるため様々な工夫を凝らしました。- PHPのリファクタリング
- DBチューニング
- DBスキーマの改善
- DBクエリの改善
- キャッシュの適用
元々本業が趣味から派生したものなんで、これも趣味として取り組みましたが、カリッカリにチューニングしたので、本業としての実力も底上げされました。
ゲーム攻略も本業に役立ってると思うし、自分のエンジニア ⇔ ゲーマー の関係性はかなり密接している感触です。
費用
あまり詳しくは書かないですが、初期費用は広告費からまかない、ランニングコストはポケットマネーから出した形になります。ただ、途中からは同じサーバーでブログも動かしているので、趣味サーバーの維持費と考えればたいしたものではないです。本業の経験値プラス、鉄拳界への貢献と思えば、非常にコスパの良い金の使い所だったってところでしょう。
さいごに
自身もzexiユーザーとして楽しんだし、サーバー管理も楽しくやらせてもらいました。今思えば、zexi全盛期は仲間との遠征もピークだった時期なので、人生で最も楽しかった時期の1つだと言えます。
あれほど1つのSNSに1ジャンルのユーザーが集約することは、もうないんだろうなと思うと、より美化された思い出になりそうですね。いや、黒歴史かな?
thx, zexi:-)
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